デュピクセントについて

デュピクセントは「生物学的製剤」と呼ばれる注射薬で、今までの治療法では十分に効果が得られなかった中等症以上のアトピー性皮膚炎・結節性痒疹・特発性の慢性蕁麻疹に対し、体の内側から原因物質に直接アプローチする治療薬です。

作用の仕組み

アトピー性皮膚炎の仕組みアトピー性皮膚炎・結節性痒疹・特発性の慢性蕁麻疹の「炎症」や「かゆみ」は、IL-4・IL-13というサイトカイン(細胞同士の情報伝達を行う非常に小さなタンパク質)が主な原因となり、免疫反応が過剰に働くことで症状が引き起こされます。
デュピクセントは、IL-4・IL-13の働きをピンポイントでブロックし、「炎症」「かゆみ」などに対する効果が期待できます。

治療の対象となる方

デュピクセントは、以下の条件すべてに当てはまると医師が判断した場合に投与が可能です。

アトピー性皮膚炎

  • 中等症以上のアトピー性皮膚炎患者様
  • ステロイド外用剤やプロトピック軟膏(タクロリムス外用剤)等の抗炎症外用剤による治療を一定期間行っても、十分な効果が得られなかった方
  • 強い炎症を伴う皮疹が広範囲に及ぶ方
  • アトピー性皮膚炎の病変部位の状態に応じて、抗炎症外用剤の併用が可能な方
  • 保湿外用剤の継続使用が可能な方
  • 生後6か月以上かつ体重が5kg以上の方

など

結節性痒疹

  • ステロイド外用薬など今までの治療で十分な効果が得られなかった方
  • 痒疹結節(かゆみの強いしこり状の皮膚の盛り上がり)が多発し、腕や脚、背中など複数の場所に広がっている方
  • 15歳以上の方

など

特発性の慢性蕁麻疹

  • 6週間以上続く原因不明の蕁麻疹やかゆみがある方
  • 抗ヒスタミン薬などの今までの治療で十分な効果が得られなかった方
  • 日常生活に支障をきたすほどの痒みを伴う膨疹(赤く盛り上がり、かゆみを伴う発疹)が繰り返し現れている方
  • 12歳以上の方

など

使用に注意が必要な方

以下に当てはまる方は、治療開始前に必ず医師へご相談ください。

副作用について

デュピクセントは、副作用が少ない安全性が高い薬剤ですが、以下のような副作用がみられることもあります。

デュピクセントの治療の流れ

01 予約
まずはWEBにてご予約ください。
02 適応を確認
診察にてアトピー性皮膚炎・結節性痒疹・特発性の慢性蕁麻疹の状態や既往歴の確認を行います。必要に応じて血液検査を実施し、デュピクセント治療の適応を確認します。
03 初回投与
院内で初回投与を行い、自己注射の練習と指導をいたします。初回のみ2本の注射となります。
04 2回目投与
初回投与から2週間後、院内で看護師の指導のもと、ご自身にて注射していただきます。
05 経過観察・処方
2回目投与から2週間後、経過を確認し、問題が無ければ処方箋を発行いたします。最大で3か月分(6本)まで処方が可能です。薬局でデュピクセントを受け取っていただき、ご自宅での自己注射が開始となります。
(30kg未満の小児患者様は上記と異なる流れとなります。詳細は受診時に説明させていただきます。)
06 定期的な診察
1〜3ヶ月ごとに通院していただき、症状の改善や副作用を確認いたします。

デュピクセントの投与方法

投与量と投与スケジュール

デュピクセントは、年齢や体重に応じて決められた用法及び用量で皮下投与します。

デュピクセントの投与量とスケジュール

自己注射の方法

自己注射の方法については、デュピクセントを提供しているサノフィ株式会社のページをご覧ください。
ご自身で注射する場合
お子さまに注射する場合

費用について

薬剤費の目安

300mgペンの場合の目安となります。令和6年11⽉時点のデュピクセントの薬価(1本あたり\53,659)をもとに計算しています。
別途、診察料や処方箋料・自己注射指導管理料(650点)・導入初期加算料(580点)が掛かります。

自己負担額 薬剤費 初回(2本分) 薬剤費 2回目以降(1本)
3割 ¥32,195 ¥16,098
2割 ¥21,464 ¥10,732
1割 ¥10,732 ¥5,366

医療費助成制度の利用について

デュピクセントの薬剤費は高額ですが、年齢や収入などによって医療補助制度が利用できます。
国や自治体等が定める医療費助成制度には様々な種類があり、ご自身に当てはまる医療費助成制度や、デュピクセントを使用した場合の治療費について詳しく確認されたい方は、サノフィ株式会社の「デュピクセント相談室」へお問い合わせください。

  • デュピクセント相談室(月〜土 9:00-21:00):0120-50-4970
デュピクセント相談室

よくあるご質問(FAQ)

効果はいつ頃から実感できますか?
個人差がありますが、多くの方は2〜4週間でかゆみの改善を感じ、16週(約4か月)後には皮疹の改善が期待できます。
他院で既に治療を開始していますが、転院することはできますか?
他院で導入済みの方でも対応可能です。デュピクセント初回導入時の医師による皮膚症状の評価が必要になりますので、必ず紹介状をお持ちください。
自己注射は痛いですか?
個人差はありますが、多くの方が継続できる程度です。冷蔵庫から取り出した直後に注射すると注射液が冷たく痛みを感じやすので、室温に戻してから注射してください。
注射を打ち忘れた場合はどうすればいいですか?
自己判断で注射をせず、当院へご連絡いただき医師に対応を確認してください。打ち忘れが不安な方は、2週に1度の注射のスケジュールをメールでお知らせするサービスがあります。
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妊娠中や授乳中でも使えますか?
安全性は十分には確立されていないため、リスクとベネフィットを十分にご相談のうえ判断します。
ワクチンは受けられますか?
不活化ワクチン(インフルエンザなど)は可能ですが、生ワクチンは原則不可です。事前に医師へご相談ください。